新しく出来上がったばかりの名刺には、プロが撮ったユニークな写真が添えられている。
やちむんの”つるつる”とした底をフォーカスした写真を使用した名刺には、
「やちむんセラピスト」と刻まれている。
南城市だからこそ作り上げることができた、独自の癒やしの形とは。

ほっとやちむん®トリートメントとは
ほっとやちむん®トリートメントとは、沖縄の海と大地から生まれた、唯一無二の温熱美容法。
仲村さんが提供するリラクゼーションは、沖縄の伝統工芸「やちむん」を用いて行う。
とっくりを連想させるような形のやちむんの中に、
約60度のお湯を入れて温め、温癒技術を取り入れてオイルマッサージをするというもの。
冷水を入れて行う、冷癒もあるという。
その魅力は、4つの役割を担う特別仕立てのやちむん陶器にある。
このために特別に開発された「ほっとやちむん®陶器」は、手のひらサイズで握りやすく、
温熱・冷熱を自在に操れるのが特徴で、「温めて緩める」「冷やして引き締める」「角質ケア」
「深圧トリートメント」の4つの役割をになっている。
陶器の素材には、沖縄の自然が育んだ赤土とクチャ(海泥)が配合され、
その絶妙な土の配合が、心地よい温もりの持続と、肌に優しい感触を実現。
沖縄の自然を形にしたこの作品は、沖縄県認定の工芸士によって一つひとつ丁寧に作られている。
沖縄の自然と文化芸能から着想を得た「ほっとやちむん®トリートメント」は、
3つの温熱技術(浸透温熱療法・428圧迫法・369柔軟法)によって成り立っており、
一般社団法人日本スパ協会参画・監修のもと、厳正な保存と継承が行われている。
仲村さんはその中で、認定講師として携わっているという。

運命を変えた「体」の叫びと修行時代
セラピストとしての出発点は、仲村さん自身が、体に限界を感じたことがスタートだった。
埼玉出身で、中学を卒業してからは関西でひたすら働き続けた仲村さん。
19歳頃には体に支障がきたし、ぎっくり腰になった時に通い始めた整骨院。そこで大きな衝撃を受ける。
「あ、体ってこんなに大事なんだっていうのをそこで知って」
それ以来、施術を受ける事自体に興味を持ち、約10年間、お客さんとして色々なセラピーを巡る。
そんな中、感じたことは「国家資格を持つ人でも、腕のいい先生とそうでない先生がいること。
その差に直面し、自分の体に向き合うことの重要性を痛感したという。
転機が訪れたのは、ずっと指名していたセラピストさんが先生になったことで、
「手に職をつけたい」と感じスクールに入学する。そこがキャリアの始まり。
激戦区である関西で約3年間、かなり体育会系のノリのなかで技術を叩き込まれたそう。
癒しのイメージとは違い修行は想像を絶するものだったが、なんとか食らいつき学んだ。

沖縄移住のギャップ、使命感の再燃
関西での修行と実務経験を経て、家族の介護を機に沖縄へ移住することに。
そんな仲村さんが南城市に惹かれた理由は、個人的な理由だという。
南城市には、沖縄らしいシチュエーションが溢れている。海、ハイビスカス、古民家、そして三線の音色。
古くからあるもの、時の流れを感じさせる風景に「すごくキュンキュンする」 と笑顔で語る。
しかし、実際に沖縄に移住して生活し始めると、何となく抱いていた
「のんびり、穏やかで、長寿地域の沖縄」 のイメージにギャップを感じた。
同世代の人たちが「病んでる」「疲れてる」 という姿を目の当たりにしたとき、
セラピストとしての使命感が再燃する。
南城市でセラピストとして働くうちに、地形や歴史、また、斎場御嶽のようなパワースポットの存在が、
自身が目指すセラピーとハマったかもしれない、と確信を持つようになった。

お客さんに寄り添うこだわりの施術を
現在、仲村さんは自宅サロンでの施術に加え、セラピストの育成やイベントへの参加など多忙な日々を送る。
施術の時のこだわりは、「力」ではなく、お客さんと「同調」「共鳴」すること。
「私がお客さんに委ねる、という感覚を大事にしてますね」
会話や触り方を通じて、寄り添う。
以前は、オールハンドの施術に自信を持っていた仲村さん。
今ではやちむんを使った施術は「なくてはならない存在」であるという。
また、南城市の物で行う施術に強いこだわりを持つ。
大里で精製している「月桃オイル」は、満月の翌日の早朝に摘んだ月桃のみを使用、熱を加えない製造でじっくりと精製する。そうすることで安全性のグレードが高く、また、肌への浸透力がしっかりと感じられるようになっている。
「月桃」と聞くとムーチーの香りを想像されるかもしれないが、
シークワーサーやヒノキもブレンドされた、月桃とはまた違った印象の香りも魅力的だ。
このオイルとの出会いをきっかけに、より南城市に魅力を感じ、
「南城市ってすごい!」と強く感じるようになった。

南城市の魅力のひとつとして
今後の展望を聞くと、南城市を「やちむんセラピストの聖地」として確立すること、との答えが。
その実現に向け、今は二つの柱に注力しているという。
1つは、セルフケア教室の普及。
やちむんを使用し、子供から大人まで誰でも楽しく。
気軽に自分で自分を癒せるように、セルフケアの習慣化するお手伝いをしたい。
もう一つは、観光業への導入。
ホテルやヴィラといった観光サービスでやちむんトリートメントを導入してもらい、
セラピストの活躍する場をどんどん広げて行きたいと話す。
南城市は斎場御嶽などといった、「パワースポット」と言われる場所が多々ある場。
癒されたい、という明確な目的を持つ人が集まる場所だからこそ、
この地域の特性と、やちむんセラピーの独自性を強く結びつけたい。
いつか南城市に来るあなたに、「南城市ならではの癒やし」を届けられるように。














